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第21回 デカすぎる目標は頓挫する

私は行動定着型の研修デザインと実践を行っており、2006年からITシステムを使って研修の後の行動をモニタリングして来ました。9年間の経験とデータを見て分かったことは


「高すぎる目標は頓挫する」


ということです。

達成する前に途中で行動を止めてしまうことが多いのです。


研修当日だけに着目した研修を作ると、どうしても


「誰から見ても立派な目標を立てさせたい」


という気になります。本来であれば、目標設定とは、


1.あるべき姿までの現状の問題を抽出して、(問題抽出)

2.原因分析を行い、本質問題を特定し、(問題特定)

3.問題解決のために取り組む課題を設定して、(課題設定)

4.達成期限と数値目標を設定する。(成果設定)


という具体化の段取りを踏む必要があるのですが、そのようなステップをすっ飛ばして、結果目標だけを設定させてしまうのです。


なるほど、立派な誰に見せても遜色ない目標が出来上がりますが、残念ながらそれが達成するまで行動を続ける人は稀なのが現実です。


なぜそのようなことが起きるのでしょうか。

私は原因は、講師の問題と参加者の問題の2つ考えられると思います。


——


1.講師の問題

  研修効果が高いと思わせたい。


2.参加者の問題

  低い目標を見せるのは恥ずかしい。


——


まず1.講師の問題ですが、研修当日にワークシートに書かれた目標やアクションプランがその研修の効果として評価されることがありますので、そこにしょぼいことが書かれていたら


「何を教えたんだ」


と言われかねません。

(ベンダーであれば継続受注に影響してしまいます)


それではまずいので、大成功の研修だったとするためには、立派なアクションプランを立ててもらう必要があるのです。


ただこれは一概に講師を攻められません。

研修当日だけが勝負なのが問題なのです。


研修修了3ヶ月後の行動定着が勝負なのであれば、無理に頓挫するプランを立てさせるより、達成しやすい目標を作り、クリアーしたらまた再設定してもらうようにすれば良いだけです。


研修当日だけ着目している時点で苦しいのです。


次に2.参加者の問題ですが、目標管理制度等の運用で高い目標設定を求められてきた経験が邪魔をして、低い目標にすることに違和感を感じる人がいるのです。


これは、高い業績を上げるため一生懸命目指して取り組んで来た証拠ですし悪い事ではなく、尊敬に値することです。


しかし、行動を続けるという視点では問題が多いのです。


高すぎる目標は一端下げることで、行動に結びつきやすくなります。

続けることで、よりよい最適な行動に気づくのです。


途中で止めたら気づきもありません。


目標を下げることは行動を続けるという視点では、レベルダウンでなくむしろレベルアップなのです。


一人だけで下げるのはとてもキツいことなので研修参加者全員のコンセンサスとして、

「継続して実践する中で再設定していけばいい」

と決めておけばいいのです。


さあ!

『人材育成担当者よ。目標は高くしすぎず行動を続け改善していこう』

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