先日、行動を定着させる研修プログラムのインストラクター養成研修を
行いました。
そこで
「なぜ研修はやりっぱなしになるのか?」
という問いをしたところ、
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Aさん 「受講生に向上意識がないから」
Bさん 「受講生に変えなきゃという危機感がないから」
Cさん 「受講生にそもそもやる気がないから」
—–
という意見が出ました。
今回はこのことのコラムを書きたいと思います。
研修のスタート時点で「やる気のない人」がいます。
「なんでこの忙しいときに集められたんだ」と否定的な人が
いるときもあります。
階層別研修のように、ある時期になると強制的に
集められる研修では、その傾向が顕著になります。
そのような参加意欲で、よい研修の時間が過ごせるはずがありません。
それどころか、研修時間が苦痛でしかないでしょう。
しかし、ここで考えて欲しいのは、この状況を生んだ原因は
何なのかということです。
受講生のやる気や危機意識の欠如を言いますが、本当に研修参加者が
一方的に悪いのでしょうか。
そうではありません。
「教授法設計理論の父」ロバート・M・ガニエ教授の理論
「ガニエの9事象」においても、
1.学習者の注意を喚起する
2.授業の目標を知らせる
とありますし、フロリダ州立大のケラー教授が提唱している
学習意欲を高めるモデル「ARCSモデル」においても、
1.注意(Attention)
学習者に興味を持たせる。
2.関連性(Relevance)
学習者がやりがいを感じ積極的に取り組めるようにする。
とあります。
いずれにしろ受講生が、
「面白そうだな」
「やりがいがありそうだな」
と期待をもって参加することは、重要な研修デザインの1つなのです。
つまり、「研修効果は研修が始まる前に勝負がついている」と
言っても過言ではありません。
ところで皆さんはどのように研修受講生を集めているのでしょうか。
ただ単に研修のお知らせをするだけになっていないでしょうか。
マインドセットと言われる「研修の導入時点の重要さ」は
ご存知かと思いますが、「参加者の集め方」も含まれると
いうことです。
要は、
「事前にどのような情報を、どのように伝え、
どのような気持ちで参加してもらうか」
ということはとても重要であるということです。
日程やアジェンダ情報を伝えるだけでは研修の目的を
深く理解はできないでしょう。
何のためにこの研修が行われるのかをしっかり伝える必要があります。
そして、どのように伝えるかも重要なポイントです。
例えば、経営幹部からの直筆で
「山田さん、会社は今、~~~の状況である。
この研修では、君に~~~を期待しています。」
というレターが届いたらどうでしょうか?
嬉しくてやる気満々で研修当日を迎えることでしょう。
期待されている分だけ、もし疑問点があれば、上司に聞くなど、
自ら準備を怠らないはずです。
このように「集め方」の工夫によって、研修前から「行動変容」を
仕掛けることもできるのです。
事前宿題を出す事もいいですが、まず参加者本人の気持ちを
前向きにさせることが重要と考えてください。
さあ!
『人材育成担当者よ。参加者の集め方を工夫しよう』