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第2回 なぜ受講生の上司に会わないのか

ある日私は、とあるメーカー企業のHRD担当者の一言に驚きました。


「私、この仕事を始めて初めて現場に行きました」


私は、この企業に研修後の職場で利用する「行動習慣化支援システム」ActionT.C.の導入を進めていました。


そのHRD担当者は職場でITを使わせるので、「遊んでいる」と言われないように受講生の上司に会って説明してきたそうです。


そして続けてこんなことを言いました。


「こんなことを研修への期待を聞いてビックリしました」


なぜですか?と聞くと、


「営業マンのスキルのうち特に財務面のスキルが足りず稟議書が上がって来ないというのです。最近法律が変わったりして、知識習得が間に合ってないんでしょう。」


そうですね。それで?


「実は今度やろうと思っていた研修はロジカルシンキングです。今流行っているしビジネスマン必須のスキルだと聞いたものですから。でも受講生の上司は、”財務の知識を身につけてほしい”と言っているのです。だいぶ違いました」


私は、


『それはとてもよかったですね。実は研修の企画の仕事では、ニーズアセスメントといって、職場のニーズを探ることは研修設計のイロハのイなんですよ。』


と話しました。

これは他山の石ではないと思います。


みなさんはどれだけ現場のニーズを掘り起こしているでしょうか。


一般に研修は、経営のニーズと人的リソースの実力のギャップを埋めるために行われる人材育成施策と言われています。


ただ、ビジネス環境を一番良く知っているのは現場です。

とくに受講生を研修に送り出す上司の一言はとても重要です。


その情報を拾わないで、いい研修を作れるでしょうか。


HRD担当者は自分の部署だけで仕事をすることはできないはずです。

良い研修を企画するために、いつも社内を歩き回り、ニーズを把握しなくてはいけません。


しかし相手が本音を話してくれるとは限りません。

だからこそ普段から信頼関係を作り上げておく必要があるのです。


さあ!

 『人材育成担当者よ。もっと社内を歩き回ろう!』

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